豪州リートが日本で購入可能!分配金も期待できるかも
伊藤亮太(いとう りょうた) 現在、スキラージャパン株式会社取締役副社長。 CFPR、DCアドバイザー、証券外務員資格保有。 慶應義塾大学大学院商学研究科(専門は社会保障・年金)修了後、証券会社の営業・経営企画部門等を経て2007年11月、「スキラージャパン株式会社」を設立。個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランニングの提案・サポート等を行うと同時に、企業やオーナーに対する経営コンサルティング、相続・事業承継設計・保険設計の提案・サポートを主に行っている。 また、CFPR認定者として、FP受験講座等の講師として活躍するかたわら、大学等で金融や資産運用、年金、保険などの講演も行っている。著書として、『ゼロからわかる金融入門 基本と常識』(西東社)などがある。 公式サイト|伊藤亮太ファイナンシャルプランナー http://www.ryota-ito.jp |
2011年3月9日に東京証券取引所にて上場Aリート(1555)が上場しました。このリートは、オーストラリアの上場不動産投資信託によって構成されるS&P/ASX200豪州リート指数に連動をめざすETFになります。つまり、日本に居ながらオーストラリアの不動産に少額かつ低コストで投資することができる画期的な金融商品が3月から売買可能になったといえるのです。今回は、この上場Aリートについてご紹介いたしましょう。
■上場Aリートのポイント
上場Aリートという名称は、日本の上場不動産投資信託をJ-リートというように、オーストラリア(Australia)の不動産投資信託という意味を表すことからきています。このETFは、上記の通り、S&P/ASX200豪州リート指数に連動をめざすものになります。指数は、S&Pが公表している指数であり、オーストラリア証券取引所の上場不動産投資信託の投資収益を時価総額比率で加重平均し、指数化したものになります。つまり、オーストラリアの代表的なリート指数に投資をしているのと同じような結果が得られる、というのがこの上場Aリートなのです。
指数に含まれる構成銘柄は10銘柄で全体の構成比率の約91%を占めているのが特徴でもあり、各銘柄のリートは、小売店、商業施設、オフィスなどの賃貸物件に分散投資がなされています。また、銘柄によっては、オーストラリアだけでなく、米国や英国、ニュージーランドといった国の不動産にも投資しているものもあり、世界各国の不動産に投資できる側面も持ち合わせているのです。
豪州リートも、2007年までは不動産バブルのような時代があり、指数でみても、現在では高値から1/3ほどとなっています。今回の上場Aリートは、初回の決算日が2011年7月10日ということもあり、分配金がいくらになるのかはまだ未定となっていますが、過去の豪州リートの実績からすると、5~6%の利回りが期待できると予想されます。利回りから見ても魅力的といえますね。
また、オーストラリアの人口の特徴なのですが、移民の数がかなり多く、人口2,200万人のうちおおよそ1/4、つまり500~600万人が外国生まれの移民になります。また、1年間の人口増加数が45万人ほどなのですが、そのうち約30万人が移民になります。つまり、移民による人口増加がオーストラリア経済を支えている側面があるのです。移民が増加すれば、人口増により不動産の需要も高まるでしょうし、資源高の恩恵を受けることで不動産価格が上昇するといったことも期待できます。
こうしたメリットが享受できるかもしれない豪州リートが日本で買える、しかも上場しているといった点は大変魅力的といえるのではないでしょうか。豪ドルも堅調に推移していますし、為替差益のメリットも受けられるかもしれません。
もちろん、リスクもあります。オーストラリアの不動産を取り巻く環境が今よりも悪化すれば、基準価額は下落する要因にもなりますし、金利上昇による基準価額下落リスク、状況によっては換金できないといった流動性リスク、円高による為替差損が発生する為替変動リスクなど様々です。ただ、こうしたリスクもあるものの、分散投資の一環として豪州リート投資を視野に入れるのも面白いのではと私は考えます。
オーストラリアに投資するというと、外貨預金やFXといったオーストラリアドル(通貨)に投資する方法やオーストラリア国債など豪ドル建ての債券に投資する方法が一般的かと思います。利回りも現時点(2011年5月1日時点)では他の先進国と比較すると高めですから、こうした投資をお考えになる方も多いと思います。ただ、今回はそうした金融商品ではなく、日本で買える豪州リートという投資方法もあることをご紹介しました。2011年4月28日の終値では10口=10,650円から投資できます。考え方にもよりますが、豪州リートは分配金、値上がり益、為替差益を享受できる可能性があります。預金や債券投資以外の投資手法としてご検討されてみてはいかがでしょうか。
ヤフーファイナンス(1555、チャート図などあり)
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=1555.T
■東京証券取引所に上場する「上場Aリート」の主な商品概要
銘柄名 | 上場インデックスファンド豪州リート(S&P/ASX200 A-REIT) (愛称:上場Aリート) |
銘柄コード | 1555 |
上場日 | 2011年3月9日(東京証券取引所に上場、3月3日設定) |
売買単位 | 10口単位 |
計算期間 | 毎年1月11日~3月10日、3月11日~5月10日、5月11日~7月10日、7月11日~9月10日、9月11日~11月10日、11月11日~翌年1月10日 ※ただし、初回計算期間は2011年3月3日~2011年7月10日まで |
決算日 | 毎年、奇数月の各10日(支払受益者確定日。初回は2011年7月10日) |
収益分配 | 毎決算時に、信託財産から生ずる配当等収益から諸経費などを控除後、全額分配することを原則とする |
手数料 | 売買手数料:取扱会社が定める率とする 信託報酬 :純資産総額に対して年率0.4725%(税抜0.45%)以内の率を乗じて得た額 その他費用:組入有価証券の売買委託手数料、監査費用、借入金の利息、立替金の利息、受益権の上場に係る費用、標章の使用料など ※その他費用は、運用状況等によって変動します |
※当コラムは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的としたものになります。銘柄や金融商品の選択、投資判断の最終決定は、ご自身の判断でなされるようにお願いいたします。
本コラムは、スキラージャパン株式会社ホームページ『FPコラム』に掲載したものを手直ししたものになります。
FPコラム一覧メニュー
- 第1回『授業料無償化と子ども手当で学習費はまかなえるか?』
- 第2回『生命保険加入と見直しのポイント!』
- 第3回『プロ野球を応援しよう!面白い定期預金のご紹介』
- 第4回『環境に関心を持とう!エコ定期預金のご紹介』
- 第5回『魅力的なETF商品が増加中!「金の果実シリーズ」とは?』
- 第6回『高金利が魅力!?ブラジル・レアル建ての外貨預金と債券を検証』
- 第7回『何か当たるかも!?面白い定期預金のご紹介』
- 第8回『子育て世帯ご注目!子育て支援定期のご紹介』
- 第9回『邦銀初!投資信託の申し込み手数料完全無料化』
- 第10回『JASDAQ-TOP20がJASDAQ市場に上場!』
- 第11回『今年は要注意!金券が紙切れに?』
- 第12回『名産品がもらえる!ご当地定期預金のご紹介』
- 第13回『学生限定!学生専用口座・専用普通預金のご紹介』
- 第14回『大震災義援金のお願いと災害情報について』
- 第15回『豪州リートが日本で購入可能!分配金も期待できるかも』
- 第16回『全国で続々登場する震災復興支援定期のご紹介』
- 第17回『ドル安円高背景と為替投資の方法について』
- 第18回『エコ関連のローンが最近話題に!?』
- 第19回『為替の動く時期・傾向とは?』
- 第20回『第1回「個人向け復興国債」のご案内』
- 第21回『缶詰1個から参加できる寄付活動に参加しよう!』
- 第22回『初任給ってどのくらい?』
- 第23回『節電にチャレンジすることでお金も貯まる?そんな預金があるんです』
- 第24回『JCBカード保有者必見!トッピング保険の提供開始!』
- 第25回『楽天銀行の新型定期は金利が最高年1.1%』
- 第26回『日経新聞読み方講座【初級編①】「マーケットの用語と意味を知ろう」』
- 第27回『日経新聞読み方講座【初級編②】「日本国内の景気指標を知ろう」』
- 第28回『スマホでCMを見てポイントゲット!』