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旅立った友Yのこと

2025/02/10 15:25jun
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モグとYと私は高校の同級生。聖書を読む会の活動で、私とモグは親しかったけれどYとはそうでも無かった。Y・・・ひと際美人で目をひく女の子だった。

30代の頃、Yは激しい恋愛の末、未婚のまま女の子を出産して、自分で独立して仕事を始めたのだった。かなり難しい士業の資格を取得していたのだ。大学の卒業時は総代だった、と風のうわさに聞いたことがあった。

大学時代、Yは自分の長兄をモグに紹介して二人は結婚。モグとYはクラスメートから姉妹にもなったのだった。
 
それからの二人の人生は、私はモグを通して聞かされていた。

モグの連れ合いは起業して事業に失敗。
Yは猛烈に働いて、40代だったと思うけれど、倒れてしまった。
命は取り留めたけれど、身体の自由と視力は失ってしまったのだった。

モグはずいぶん頑張っていたと思うけれど、Yのお母さんは、モグのことを(彼女は公務員としてずっと働いていたのだ) 賢い女で稼ぎがあるのかもしれないけれど、息子をダメにした嫁だ・・・みたいなことを言っていたのを思い出す。いろいろ紆余曲折があり、モグは離婚したのだけれど、その時すでにYは失明していたのだ。


Yは20年以上暗闇の中で暮らし、最後の10年は介護施設に入所していた。
モグはYの娘の進学や結婚、さらにはYとその母親の施設入所など、陰でずいぶん支えていたのだ。私もモグに頼まれて、Yが暮らしていた古い実家の耐震診断に行ったことがある。同級生だと名乗ると良くないから、と言われて、自治体の担当職員みたいな顔して行ってきたのだった。

Yの最後の時、会えたのはモグだけだった。後見人の弁護士さんから連絡があり、もう長くないから、と言われてその日に大急ぎで会いに行ったのだそうだ。

お兄さんとは、本当にいろいろあったけれど、Yが紹介してくれて、結婚したから私は3人の子供に恵まれたの。ありがとう。
モグはそう伝えたそうだ。
Yは恨んでいないのね、と言って少しだけにこっとしたそうだ。

30分の面会。モグは帰る時に、これでYは旅立てる。私も見送れると思った、と言っていた。

高校時代の私たち。頑張れば、道は拓けて、どんなことでも出来そうに思っていた。恋をして、母になり、Yは経済的にも仕事でも充実していたのだと思う。

幸せな人生だったのだろうか。
身動きの取れない暗闇の中の年月、何を思っていたのだろうか。

教会で、私に話しながら涙をボロボロこぼしたモグ。


この何日か、ふとした時にYとモグの事が思われる。
モグの胸のうちは私などにはわからないが、癒されるように、と祈っている。そしてY。あなたの輝いていた時代を思い出しているよ。

自由に動ける、光の中の世界で、安らかに!!


我がクラスで旅立ってしまったのは、男性2人、女性2人の4人。

みんな、早すぎだよ。

jun


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