「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(藤原敏行)昨日あたりからこの歌にぴったりの季節感がある。乾燥した涼しい風が朝晩吹くようになった。そういえば昨日はトンボも飛んでいた。毎週行っている月が谷温泉の10月桜も間もなく咲くだろう。秋という季節はちょっぴり物悲しくもあるが、いね、果物等恵みの季節でもある。しかし、近年、田舎道を走っていると柿が鈴なりになっているのを、採らない家が実に多い。そのまま熟して、鳥の餌か、地面を汚している。甘柿はもちろん渋柿でも少し前までは剥いて竹ざおに乾して、もみながら食べたものだ。甘味があふれている時代、面倒なことをしなくても子供たちには、ほかにおいしいものはいくらでもあるが、干柿が軒下にぶら下がっている光景をあまり見なくなったのは、寂しい。