FPが綴るコラム

B-1グランプリの経済効果は?地域活性化をもたらす救世主!

伊藤亮太(いとう りょうた)
現在、スキラージャパン株式会社取締役副社長。
CFPR、DCアドバイザー、証券外務員資格保有。
慶應義塾大学大学院商学研究科(専門は社会保障・年金)修了後、証券会社の営業・経営企画部門等を経て2007年11月、「スキラージャパン株式会社」を設立。個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランニングの提案・サポート等を行うと同時に、企業やオーナーに対する経営コンサルティング、相続・事業承継設計・保険設計の提案・サポートを主に行っている。
また、CFPR認定者として、FP受験講座等の講師として活躍するかたわら、大学等で金融や資産運用、年金、保険などの講演も行っている。著書として、『ゼロからわかる金融入門 基本と常識』(西東社)などがある。
公式サイト|伊藤亮太ファイナンシャルプランナー http://www.ryota-ito.jp

 今年もB-1グランプリは盛大に開催されました。10月20日・21日に福岡県北九州市にて開催された「第7回B-1グランプリ」では史上最多となる61万人が来場し、経済効果は78億円とも呼ばれています。これほどのマネーが動くB-1グランプリとは一体何なのでしょうか?詳しく知らない方のためにまずはB-1グランプリとその歴史について解説します。その後、過去の経済効果からいかに地域活性化につながるか解説していきたいと思います。

■B-1グランプリは2006年から開催されている

 B-1グランプリとは、B級ご当地グルメのナンバーワンを決める大会になります。B級グルメとは、安価で庶民的であり、かつおいしいと評判の料理をさし、各地域におけるB級グルメの中からナンバーワンを決め、地域おこしにつなげようという趣旨のもとにイベントは行われています。

 正式名称は「B級ご当地グルメの祭典!B-1グランプリ」第1回は2006年2月に青森県八戸市にて、八戸せんべい汁研究所の企画プロデュースのもと開催されました。このB-1グランプリでは、イベントチケット購入者が投票することができ、投票された箸の重量でグランプリが決定されます。投票は何種類食べ比べをしたとしても1人1膳(2本)まで。つまり、1本ずつ2つの料理に投票しても良いですし、2本とも同じ料理に投票することも可能となっています。

 北九州で開催された「第7回B-1グランプリ」ホームページを見てみると、開催地団体及び殿堂入り団体(過去にゴールドグランプリを受賞した団体)は投票対象外となるため、基本的には中立的な投票で新しいグランプリが決められるといってよいでしょう。

<過去のB-1グランプリ開催地>

開催地

ゴールドグランプリ獲得グルメ

第1回(2006年)

青森県八戸市

富士宮焼きそば(富士宮焼きそば学会)

第2回(2007年)

静岡県富士宮市

富士宮焼きそば(富士宮焼きそば学会)

第3回(2008年)

福岡県久留米市

厚木シロコロ・ホルモン(厚木シロコロ・ホルモン探検隊)

第4回(2009年)

秋田県横手市

横手やきそば(横手やきそば暖簾会)

第5回(2010年)

神奈川県厚木市

甲府鳥もつ煮(みなさまの縁をとりもつ隊・甲府市)

第6回(2011年)

兵庫県姫路市

ひるぜん焼そば(ひろぜん焼そば好いとん会・岡山県真庭市)

第7回(2012年)

福岡県北九州市

八戸せんべい汁(八戸せんべい汁研究所)


■B-1グランプリがもたらす地域活性化の貢献度はものすごく大きい!

 第1回B-1グランプリの来場者数は17,000人ほどだったのが、第8回では61万人。来場者は増加にありその規模も大きくなってきています。それではどのぐらい経済効果はあるのでしょうか。

 総務省「緑の分権改革の推進に係る取組の経済効果等の分析について(案)」から経済効果の試算結果を下記に記載いたします。

対象事例

調査主体

経済効果

効果の項目

グランプリ

富士宮やきそば(第1回・第2回)

富士宮やきそば学会・富士宮商工会議所

217億円(2001~06年度)

【2000(平成12)年度以前との比較】①麺の売上増額②関連素材(キャベツ・ソース等)の消費額③観光客(県内・県外)の消費額④メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等)への取り上げ

厚木シロコロ・ホルモン(第3回)

厚木シロコロ・ホルモン探検隊

約30億円(2008年11月~09年1月の3ヶ月間)

【上記富士宮方式】①ホルモン消費額②交通費③買い物代④メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)への取り上げ⑤イベント⑥視察

横手やきそば

(第4回)

横手市(横手市、横手やきそば暖簾会)

約34億円(1位獲得後、8ヶ月間の効果~2010年5月24日)

①麺会社への注文数(全国向け) ②観光客(対前年度増) ③横手やきそば関連商品の販売数(*広告費換算効果は算定していない)

入賞

津山ホルモンうどん(第4回第3位)

津山市(岡山経済研究所)

県全体で約8億円(市内で約4億円)

①うどん消費 5億5,200万円(市内 3億4,500万円)②観光消費 1億5,100万円(市内 3,200万円)③来店客の交通費 1億円(市内 1,000万円)

津山市(広告代理店)

広告費2億3,700万円(2年間弱)

広告費換算(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)

開催

2009年B-1グランプリ(横手市)

横手市(横手市、横手やきそば暖簾会)

13億円

来場者 22万4、950人①観光消費額推計(県外、県内・市内別、宿泊・日帰り別に推計) ②実行委員会の予算支出額

2010年B-1グランプリ

厚木市(厚木市商工会議所)

36億円(大会開催2日間)

来場者43万5,000人①食事チケットの販売(1億2,000万円)、②宣伝効果(7億2,000万円)、③交通費、④宿泊代

(出所)総務省「緑の分権改革の推進に係る取組の経済効果等の分析について(案)」

 この経済効果を見ていただいてもわかるように、単純に開催地だけが潤うわけではありません。ゴールドグランプリを受賞したB級グルメの地域はもちろん、入賞でも億単位のお金が動く可能性があることがわかります。B-1グランプリから波及する経済効果がいかに地域活性化に貢献するかよくわかりますよね。今後、さらに出場する団体は増えることでしょう。そして更なるビッグイベントへと拡大していくことかと思います。

 ちなみに、「第8回B-1グランプリ」は2013年に愛知県豊川市にて開催が決定しています。お近くの皆さん、是非来場してみてください。地域活性化への貢献間違いなし!

本コラムは、スキラージャパン株式会社ホームページ『FPコラム』に掲載したものを手直ししたものになります。


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